千夜を越えて
夕刻-
静けさを取り戻しかけていた屯所に、土方の声が響く。
「幹部は局長の部屋に集合だ!」
何かあったのかな?
近藤の部屋へと続く廊下を進む咲夜。
襖に耳を当てる。
「何してるんだ?咲夜。」
その声は、部屋の中からではなく、背後から聞こえた。
「藤堂さん…な、何でもないですよ。」
あたふたして焦りを見せる咲夜に、藤堂は笑う。
「盗み聞きしようとしてたろ。」
「し、してないよ!ちょっとここの汚れが気になって…」
苦し紛れの言い訳に、藤堂は声を上げて笑い出した。
「ぷっ…あははははは!慌てすぎ。気になる?この会議。」
「そ、そんなこと…ある…」
「じゃあ、堂々と入れば良いじゃん。」
「良いの?」
藤堂は、ニッと笑って襖を開けた。