幼なじみは年の差7歳【完全版】


――……。


ファミレスでの食事を済ませ、会計前にトイレへ…と立った私と、見送る冬馬兄ちゃん。

鏡の前で服装を整え、宝石に傷がついてないかのチェック。
色々なことを済ませて戻る。と、女性が冬馬兄ちゃんと何か話してる。
服装は少し派手目な感じで…ファミレスの店員さんとは違うみたい。

私に気付いた冬馬兄ちゃんの視線と、それに気付いた女性の視線。
女性はまた冬馬兄ちゃんと何かを話した後に頭を下げ、私にも笑顔で頭を下げて離れていった。


(…あの人、どこかで…どこ、だっけ?)


どこか見覚えのある女性。だけど思い出せない。


「どうかしたの?」

「ん、ちょっとね。
美和の学校の3年生らしい」


私の、先輩…。だから見覚えがあったのかな?


「ほら俺、よく美和のこと学校まで送って行ってただろ?
それで俺を知ってたみたいで、“メールしませんか”って言われたんだ」


…それって、もしかしてあの人…冬馬兄ちゃんのことが好き…?
そうじゃなきゃ普通、メールしませんかなんて言わないよね…。


「美和の知り合いかと思って、一応アド交換はしたけど…全く知らない人だった?」

「…見覚えはあるんだけど、名前とか全然知らないよ」


冬馬兄ちゃんの優しさがあの人との繋がりを作ってしまった。
既にあの人からメールが送られてきたみたい。


「メールの返事、するの?」


本当は今すぐアドレスを消してほしい。拒否設定にしてほしい。
だけど冬馬兄ちゃんは少し考えた後に小さく頷いた。


「一応返すよ。で、メール出来ないって説明する。
美和の知り合いじゃないならメールする意味は無いだろ?
だからそれを、出来るだけ丁寧に伝える」


笑った後に私の頭を撫でて言葉を続ける。
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