依存~愛しいキミの手~
授業中で静まり返る校舎を歩き教室に戻る途中、隣のクラスのドアの前でゆきが足を止めた。


?


数歩進んだ所でそれに気づき、足を止め振り返った。


ゆきは胸に手を当て深呼吸をした後、ドアを勢い良く開け中に入って行った。


「は!?何してんの!?」


慌ててドアに走り中を覗く。


隣のクラスにいた全員がゆきに注目する。


え?何?何してんの!?


自分がどうすればいいのか分からず、入口でオロオロしていると知美が目に入った。


あ…もしかして…。


つかつか歩いて行くゆきの後ろ姿。


「今までたくさん悪口言ってごめんなさい!!」


廊下まで響く大きな声を出し、ゆきが頭を下げた。


目の前には驚いた顔の知美が座っている。


やっぱり。


どうなるんだと、ハラハラしながら見守っていると、知美と目が合った。


視線を私からゆきにずらし、優しい笑顔を向ける。


「謝ってくれてありがとう」


そう知美が言った。


笑顔になった私の所に、ゆきが真っ赤な顔をして戻ってきた。


「あんた最高ー(笑)」


ゆきの背中を思いっきり叩きながら笑った。


ゆきもはにかんだ笑顔を見せた後、笑いだした。


2人で肩を叩き合い、廊下に笑い声を響かせながら教室へ戻って行った。
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