依存~愛しいキミの手~
すごく長い時間だった。


…いや、多分数秒のことだった。でも、私にはすごくすごく長い時間に感じた。


離れた圭介が顔を赤くして首の後ろに手を当て俯いた。


私はドキドキと恥ずかしさが入り混じって、今にも意識がぶっ飛びそうだった…。


圭介がかがむ。


私はそれにも気づかず、固まったままだった。


「…お前」


圭介の声にハッと我に返り、手のひらで口を押さえかがんでいる圭介のことを見た。


「勉強道具必要ねーだろ(笑)置いてけよ。」


私は手に持っていたバッグをいつの間にか落としていたようだ。落ちて中からすっかり忘れていた教科書や参考書が散らばっていた。


「あ…あ、うん」


私もしゃがんで散らばった物を集めた。


圭介の顔はとてもじゃないけど、見れない。


圭介の手が私の腕を掴んだので、肩を揺らすほどびっくりした。


圭介が小さく笑い、散らばる荷物の中にあった香水を私の手首に吹きかけてくれる。


圭介の匂いが広がり、余計に恥ずかしくて顔を上げられなくなった。
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