依存~愛しいキミの手~

気持ち

全部話し終わった時には、2人の吸い殻で灰皿がいっぱいになっていた。


「お互い何も言わなかったの!?」


美香が目を丸くし、強い口調になった。


「聞きたいけど、聞ける雰囲気じゃなかったし、聞くのが怖かった…」


私は軽く握った手を口に当てた。


「…あすかは、どうして拒否しなかったの?最後のは拒否しようと思えばできたんじゃない?」


灰皿を取り替えながら聞く美香。


「頭真っ白になってて…でも…」


美香が私の目を真っ直ぐ優しい表情を向ける。


「でも?」


「…嬉しかったから…」


素直に言葉にしたのが恥ずかしくて、私は膝に頭をうずめた。


美香が私の頭をゆっくりなでてくれる。


「私、好きなんだよ…。好きになり始めただけだと思い込んでたけど…、すっごい好きになってるんだ…」


美香の手があまりも優しいから、隠さないと止まらなくなるって、分かっているのに気持ちが込み上げる。


「ちょー好きなんだよ…」


何でだか自分でも分からない。勝手に涙が溢れてきた。


美香の表情は分からないけど、頭をなでる手がすごく優しかった。


「あすかは、キスしてきた理由知らないままでいいの?」


私は顔を上げた。


美香は優しく笑っているけど、真剣な眼差しだった。
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