依存~愛しいキミの手~
「もうすぐあれから3ヵ月か…。お互い店忙しいから過ぎるのあっと言う間だな(笑)」


夜景に包まれて圭介が笑った。


夜景を満喫した後江ノ島に行って、東浜の階段に座る。


春先の海辺はまだ寒く、白い息が出る。


波の音が響き渡り、暗い海に白い波だけが見えて面白かった。


「星すげー」


空を見上げ、タバコの煙りを吐き出しながら言う圭介。


私も首を後ろに折ると、満天の星空にタバコの煙りが雲のように広がっていた。


「あ!流れ星!」


そう言った時にはもう消えていた。


「あんな速いんじゃ、願い事3回も言えないし!」


口を尖らせながら膝を抱えて、タバコに火をつけた。


膝に顎を載せる私の頭を、圭介の優しい手がなでてくれる。


この手が本当に好きだった。


頭をなでられると、心が温かくなって胸の奥から好きって言う感情が溢れ出す。

圭介が私のことを好きなんだと言うのも、この手から伝わる。


優しく私の頭をなでてくれる圭介が、1番好きだった。


1番圭介を愛おしくなる瞬間だった。


付き合う前、まだ去年の夏ここに来ていた時も圭介のことが好きで、頭をなでられた時すごくドキドキ緊張していたのを思い出す。


あの頃よりも、たくさんの圭介を知って、好きがどんどん大きくなってる。


優しい手に緊張することもなくなり、安心に変わった。


きっと、こういう気持ちを伝える時

愛してる


そう言うんだろうな…。


圭介に抱きつき、胸に顔をうずめる。


「…心の準備できた…」


自分の体温が一気に上昇するのを感じた。
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