依存~愛しいキミの手~
長い間悩みまくって、結局下着をつけてバスローブを身にまとうことにした。


脱衣場のドアを開けると、そのまま意識がなくなるんじゃないかってくらい緊張した。


畳んだ洋服をぎゅっと握りしめながら、小さく足を進める。


「じゃあ俺もシャワー浴びてくるわ」


圭介が私の前に立ち、おでこにキスをした。


洋服を握りしめる腕にさらに力が入り、目を閉じる。


圭介が頭をくしゃっとなでて通り過ぎても、その場で固まって動けなかった。


う…うわっ…うわー!!


ど、どうしよう!?私どんな顔して待ってればいいの!?

ベッドで?ソファーで?


どこに座って待っていればいいのか分からず、ソファーとベッドの間で服を持ったままウロウロしていた。


バスローブもスッピンも、これで良かったのかな!?


着ていた白いバスローブの胸元を直しかんがえていると、背中から圭介の笑い声が聞こえた。


!!


振り返ると圭介がお風呂から出てきていた。


「お前何ウロウロしてんだよ(笑)」


圭介が立ったままタバコをくわえ、火をつけながら少し濡れた前髪をかきあげた。


バスローブの胸元から鎖骨が見える。





思わず見とれてしまった。


男の人を色っぽいと思ったのは初めてだった。


火照った頬を隠すように、下を向く。


「とりあえず飲もうぜ」


優しく笑った圭介は、テーブルの上に缶ビールを2つ並べた。
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