依存~愛しいキミの手~
「圭介がホストしてる理由分かってるでしょ?」


分かってる…。もしかしたらそれが嫌なのかも。


春子さんが原因で起こした傷害事件。その慰謝料と治療を返していることで、今も春子さんとつながっているような気がした。


説教を聞いても受け止めない私を見て、2人は顔を見合わせてため息をついた。


そして、夏休みも終わりが近づき始めた頃…


「春子さんと私どっちが好き?」


私は言ってはいけない言葉を圭介に言ってしまった。


「お前…何言ってんの?」


目を丸くした直後、鋭い目つきに変わった。


初めて見る圭介の表情。


「答えてよ!!」


私も圭介を睨みつける。


「お前さ…最近おかしいよ。…少し頭冷やせ…」


そう言って圭介は家を出て行った。


何で答えないの…?


私だって言えないの…?


暗くなった広いリビングで、膝を抱えて泣いた。


不安なんだよ…。


圭介が私だけを見てくれてないから不安なの。


もうこんな醜い自分が嫌だ…。


知美、助けて…。
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