依存~愛しいキミの手~
圭介の中から、春子さんなんか消えてほしい。


春子さんとの過去なんかなくなってしまえばいいのに…。


あの頃の私は圭介のことを見ていなかったのかもしれない。
圭介の後ろで微笑む春子さんを見ていたんだ。


いない人間に嫉妬したって意味がないのに、余裕で笑ってる春子さんが悔しかった。


きっと、圭介にこの不安を話していたら受け止めて、私を安心させてくれただろう。


それができなかったのは、勝手に箱を見た罪悪感があったから…。


だから、誰にも相談できずに1人で抱え込んでいた。


どんどん自分を追い込んで、狂っていく自分が怖かった。


そんな時すがるのは、知美で、でも知美もいない…。


結局、弱い私は薬にまた手を出し始めた。
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