依存~愛しいキミの手~

別れ

だけど、なぜか気持ちがスッキリしていた。


最後に見た顔…。


あれは春子さんだった。


夢なのか現実なのか臨死体験なのか、今でもそれは何だったのか分からない。


夢だったとしても、春子さんはすごく暖かい人なんだって分かった。


圭介が好きになった人に、ありがとうと言われた…。


なぜかそれだけで、それまでの醜い嫉妬心は消し去られた。


「追いつめてごめんな…」


圭介が横で私の手を握って俯いて言う。


「私こそごめん…」


力の入らない腕で圭介の手を握った。


優しい手で私の頭をなでる圭介。


「……あすか、別れよう…。このままじゃお前も俺もダメになる…」


別れを告げられるのは分かっていた。


覚悟していたはずなのに、涙が溢れ出す。


気持ちがスッキリしたのと、圭介の頭をなでる手が優しすぎて、別れたくないと心の底から思った。


「ごめんね…」


そう涙を切るように目をつむると、圭介は3回優しく頭をなで病室を出て行った。


自分で幸せを壊した。全て崩して行ったのは自分。


自業自得すぎて泣きながら笑えた。



2000年8月21日


病室


圭介に別れを告げられた。
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