依存~愛しいキミの手~

転機

ある日、その店では珍しい落ち着いた飲み方をする緒方さんと言うお客さんと同伴をしていた。


料亭で楽しく話ながら食事をしていると、緒方さんが箸を置き、真っ直ぐに私を見つめる。


「あすかは、福富よりも関内の方が合ってると思う。移る気ないか?」


福富と関内と言うのは、駅を挟んで反対方面にある。


福富側はキャバクラ、関内側はクラブやスナックなどが多いイメージ。横浜では高級に入るクラブも関内側にあった。


キャストの子に聞いた話だと、客層は関内側の方が落ち着いた人が多いと言っていた。


福富町で働いたのは、1件だけだから他のお店は分からないが、とりあえず客層は最悪だった。


私も箸を起き、緒方さんの話を詳しく聞く。


「行きつけの店なんだけど、指名してた子が辞めちゃってね。ママにあすかの話をしたら是非会いたいって言ってて」


ママと言う言葉に引っかかったが、悩んで知美にも相談しとりあえずお店に見学に行ってみることにした。
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