依存~愛しいキミの手~
翌日オヤジと店に行き、未成年で働いていたことを謝った。


ママはとても驚いていて、しばらく無言だった。


「あすか…。人を裏切るってどれだけひどいことだか分かったわよね?」


ママが頭を下げる私の頬を触りながら言った。


「未成年を雇っていたってバレればお店が潰れる可能性もある…。そこまで深く考えていなかっただろうけど、犯罪なのよ。
だから、簡単にはいそうですかで許すことはできない…」


ママは静かな声で言った。


私は泣くことしかできなかった。


「…でも、打ち明けた勇気は認める。最初は私のことを裏切ってたけど、今こうしてきちんと話してくれた。この前の話もきちんと受け止めて、ご両親にしたみたいだし」


ママは腫れた私の顔を優しくなでながらにっこり笑ってくれた。


「病院で治療頑張りなさい。周りに迷惑ばっかかけてたこと忘れないで、しっかり前向いて歩けるようになりなさい。前向いて歩けるようになったあすかの姿、楽しみに待ってるから。…卒業したらまた来なさい。治療しっかり稼いできちんと両親にお返ししなさい。…ご両親が許して下されば…ですけどね」


ママがオヤジを見て優しく微笑んだ。


オヤジもママを見て笑って頭を下げた。


「いいママのいる店で働いてたんだな…。いい人と出会えたな」


帰りの車の中で、オヤジが私の頭を優しくなで笑って言ってくれた。
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