依存~愛しいキミの手~
「何度か、あすかに会いに行こうって誘ったんだけど、あんなに傷つけておきながら行けないって…きちんと向き合えるようになったら会いに行くからってずっと言ってた。実際仕事すげー頑張ってかなりな額の慰謝料も1年かからず返し終わったし。
春子ちゃんのこと思い出す暇なかったって。…あすかのことばっか思い出すからって…。ワーホリ決めた時もな、視野広げて自分にできること探してくるって笑ってた。もし見つからなかったら他の国も色々回るって言ってたけど、帰ってくるなら見つかったんだよ。自分がするべきこと」


優の口調が優しすぎて、涙腺が壊れたみたいに涙が溢れ返る。


言葉なんか出す余裕もなかった。


圭介…。


圭介…。


ごめんね。


ごめんね、圭介。


まぶたの裏に浮かぶ優しい圭介の笑顔。


謝ることしかできなかった。


圭介も辛いなんて考えもしなかった。


自分の辛さしか見てなくて、それすら逃げてたのに、圭介はきちんと向き合っていた。


私はやっぱりガキなんだ。

成長しないと…。


しっかり向き合えるように大人にならないと。
< 383 / 441 >

この作品をシェア

pagetop