依存~愛しいキミの手~
それから少したち、圭介の誕生日間際、私はタバコを吸うと気持ち悪くなった。

頭痛や体のだるさなどもあり、風邪かなぁ?と思いながら仕事に行った。


帰宅して、美香にネイルの練習台になってもらっている時にその話をする。


「妊娠してんじゃないの!?」


私は目を丸くして固まった。


「え…?心当たりない…とか?」


「…いや…ある…」


そう言うと、美香はまだやりかけの爪で私を引っ張り検査薬を買いに行かされた。


…妊娠…?


戸惑いながら、自宅のトイレで検査薬を試した。


反応が出るまで、すごく緊張した。


赤い線がくっきりと出た。


嘘…本当に…!?


「やったぁぁあ!!」


私は勢い良くトイレを飛び出し、検査薬を振り回しながら美香に抱きついた。


「陽性だった!!」


美香の首に思いっきりしがみつく。


苦しそうにしながら、美香も一緒に喜んでくれた。


いてもたってもいられなくなり、私は仕事中だと分かっていたがその場で圭介に電話をかけた。


「どうした?」


「あ、赤ちゃんいるの!!」


「は…?」


「お腹に、私と圭介の赤ちゃんがいるの!!」


そう満面の笑みで圭介に言った。


圭介は黙ったまま返事がない。


え…。


沈黙が私の心を不安にさせる。


「…じで…?まじで…?」


「う…うん…」


声が暗い…。


「まじか!!俺、今まで以上に頑張るから!!」


圭介の大きく明るい声が、キーンと耳を突き抜けた。
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