線香花火~ひと夏の小さな恋~
「杏李ちゃん。」
「なに?優馬くん。」
「大人になったら、結婚しようね。はい、約束の指輪。」
「ありがとう。約束だよ?」
「うん。約束。」

私とあいつがまだたった5才のとき。
東京タワーが見える小高い丘で小さなシロツメグサで作った指輪を交換した。

もう、きっとあんな約束忘れているんだろうな・・・


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「もーもーしーろー!!早く!!」

「わかってるってーー!!」

いつもの朝の光景。

小さな窓の外には、アイツがスクバをブンブン振り回している。

本郷優馬。高校2年生。

私と同い年、そして保育園のときからの幼馴染。

運動神経がよくて、サッカー部でも優秀なエース。

頭も良くて、成績は常に学年トップ。

また、最近は見た目までかっこよくなってきた。

そのせいで、女子にはモテモテ。

クラスでは、男子にも女子にも超人気。アイドル的存在である。
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