線香花火~ひと夏の小さな恋~
「助けてくれて、ありがとう。」

心を込めて言った。

「いや、大丈夫。ってか、泣くなよ。杏李、今日朝から泣きすぎだっつの。」

「だって・・・だって・・・」

「そっか。」

私が理由を説明する前に、もう理解してくれたようで、頭を優しく撫でられた。

「もしまた怖い目にあったら、いつでも言えよ。」

そう言って優しく微笑む。

「うん・・・」

まだ鼻をすすりながら、私もうなずく。

今、心から優馬の優しさを実感した。
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