∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
 

 僕は久しぶりに、神社の脇にある、かつて僕が雨の季節を過ごした小屋に行ってみる事にした。


 小屋の中は、シロが作った机や椅子がそのままに残っていた。

とても懐かしい感じがした。

ついこの間のような気もするけれど、反対にもっともっと昔の事のような気もする。


僕は小屋の中に入り、辺りを見渡した。


その時―――


「カサッ」

「!? 」


わずかな物音と、何かがいる気配。

僕は驚いて、

「……誰かいるのかい?」

と、怖々声をかけた。


何の返事も帰ってこなかった問いかけに返事は返って来なかったけれど、しばらくすると小屋の奥から、真っ白な子イヌが こちらの様子を伺うようにして出てきた。


生まれてまだ2ヶ月目くらいだろうか?


コロコロした可愛い子イヌだった。





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