∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
僕はシロの家を、もう一度見た。
「シロの家って 静かだよね?」
「あぁ? そうだな。今日はまだ、シロの父さんが戻ってないからな」
「シロのお父さんが帰ると、にぎやかになるんだ?」
「にぎやかというか……。シロの父さんの怒鳴り声がうちまで聞こえるよ」
「え?」
僕は怒鳴るという言葉に、思わず反応した。
「シロがあんな風だからね、気に入らないんだろうな」
「……気に入らない?」
僕たちは音を立てないようにして、静かにシロの家から出た。
僕にはシロが土手にいる理由が、何となく分かる気がした。