傷恋(キズコイ)
「君は不思議な人ですね。僕を好きだと思ったのは勘違いでしたか」

少し首を傾げて私を見る先生の目は穏やかさを取り戻していた。

「……先生が好き。だけど…先生は間違ってるよ…」

「お説教はもういい。僕と関わるのも止めた方がいいでしょうね」

「先生は、あの二人が壊れると思うの?」

小さくため息をついた先生は私から視線を逸らした。

「さぁ…どうでしょう?壊れるならその程度…という事でしょうね」

その瞬間、私は先生を殴ってた。

「ひどいよ!先生のせいで結衣の人生が変わっちゃうかもしれないんだよ!」

「榊くんに関わったのが彼女の不運でしたね」

先生はどうしてそこまで征也さんを嫌ってるの?
征也さんが先生に何をしたの?



そんなのわかんないけど、今の先生は周りを全て傷つける。

「…どうすれば先生の気が済むの?」

しばらくジッと私を見つめていた先生が無表情のまま口を開いた。

「大事なお友達の代わりを君が引き受けるなら…今後神崎さんに手出しは止めましょう」

「結衣の代わり…?」
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