ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
非情にも思えるけれど、それしか方法がないと思う。
弥生の勘違いであるならば、安全な現実を認識させるしかない。
だけど――
勘違いでないのなら。
弥生は恐怖に引きつった顔を、弥生の赤い携帯を手にしている玲くんに向けた。
「僕は武闘派じゃないけど、それでも対処できるよ」
そして玲くんは、電源ボタンを押した。
携帯画面をあたし達に見せる。
弥生はあたしにしがみ付きながら、恐る恐る覗き込んでいる。
メールが来た。
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Title: どうした?
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寂しかったじゃないか。
俺のために闘ってくれるんだろ。
紫堂櫂
-END-
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「…… 闘う?」
玲くんの呟きと共に、突如携帯の画面が自動的に切り替わる。
ネット接続した旨のアイコンが点滅したまま、地図が表示された。
「お願い、消してえッ!」
弥生の絶叫にも玲くんは耳を貸さなかった。
携帯画面はこの家の周辺を示す。
勝手にスクロールし、現在地……弥生の家らしきものが画面の中央に来た途端、動きを止める。
――そう。勝手に。