ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
これではきりがない。
消滅させられる外気功だって、連続して使用出来る代物ではない。
何より、僕の心臓が持たない気がする。
体術だけならばまだいい。
だがここまで外気功の連戦経験は、今までに記憶がない。
時限爆弾のような僕の心臓。
今まで心臓を優しく温めすぎていた代償に、実戦で思うように動かなくなった…なまった体に、苛立ちさえ感じてくる。
弥生ちゃんは完全に怯えて、腕を掻き毟っている。
応戦の構えを見せる芹霞は素人だ。
僕が何とか…しなくては!!
僕はきりきりと歯軋りをした。
それに場が不安定で、戦うにも狭すぎる。
そこに多くの血色の薔薇の痣 (ブラッディ・ローズ)が溢れ返っているのは、僕にとって、環境的にも不利のように思えた。
これでは完全体力勝負だ。
分が悪すぎる。
ひとまず、ここから出よう。
もっと…自由に動ける場所へ。
そう思った時、部屋のドアから3体の血色の薔薇の痣 (ブラッディ・ローズ)が来襲してきた。
「ぐがあああああ!!!」
耳まで裂ける口。
そこまで僕達を欲しているのか。
"食"の本能は…凄まじい。
僕は身を翻し、狂った獣のように猛けるソレの顔を、順次蹴り飛ばした。
ソレらは派手な音を立てて壁を突き抜ける。
それとは別の鈍い音がして。
「玲くん、弥生が倒れたッ」
「え!?」
弥生ちゃんは気を失ったようだ。
僕は舌打ちして弥生ちゃんを肩に俵担ぎをすると、芹霞を促して部屋の外に出た。