ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



それに触れた血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)は、此の世のものとは思えぬ声を上げた。


伸ばされた腕が、黒く焦げ付いている。


消滅するわけではないけれど、近づくことが出来ない…



言うなれば――

電気の結界。



電気の…檻。



その中に…あたし達は居たんだ。



これは…玲くんが!!?



「はあッはあッ。今のうち…芹霞、櫂に電話して。救援を呼ぼう。不本意だけど、ここを突破するより、はあッはあッ。この結界の球の中に居た方が、心臓は持ちそうだ。この結界はただの…時間稼ぎ、緊急対策…だ。

何か――おかしい」



胸を掻き毟る玲くんは苦しそうだ。


弥生の携帯は部屋に置いてきてしまったようだが、自分のだけは手に握りしめていた。


あたしはこの時程、櫂が勝手にしたアドレス帳登録を有り難く思った時はない。


限りなく少ない手間で、櫂の携帯の呼び出し音がかかった。



「……でない!?」



おかしい。

何かあれば携帯に電話かけろと言っていたはずだ。


長いコールの後、やっと電話が繋がる音がした。



「もしもし、か『芹霞さん!!!?』



しかし、電話に出たのは桜ちゃんだった。



「桜ちゃん、櫂は!?」



何か嫌な予感を感じて、訊いてみる。




『それが――…

櫂様は倒れられて』



今…何と!!!?

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