ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
突如道脇の街路灯が、奥から次々と派手な音を立てて割れていき……同時に雲間に満月が隠れる。


辺りは――

不気味な漆黒の闇に包まれた。


しゃああああ。


闇の向こうから、シャワーのように…何かが迸(ほとばし)る音が聞こえてくる。


この音は警鐘。


悪寒に似たこの感覚は予兆。



不意に雲間が切れ――

再び満月が現れる。


道の先に、確かな影を認めた。


何かが…居る!!!



小さく舌打ちする煌。


そして煌は右手を素早く動かし…



ガキンッ



――閃(はし)る銀色。



こちらに向かって突如走る白銀色の閃光を、手にした小振りの刃――いつも煌が密かに携帯する、緋狭姉特製の偃月刀(えんげつとう)の広刃で弾いた。


弾かれたそれは、高塀から覘く高木の太い幹に突き刺さり、不気味な銀の光を灯す。


それは――

手術時に使用するメスによく似た、鋭利な刃物だった。


煌がこれを弾かなければ、この刃物はあたし達の身体に突き刺さっていたかもしれない。



もし突き刺さっていたら、

間違いなく――


ぞくり。


瞬間的に震えが来た。
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