ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



居間の…開いたドア。


その照明の明るさに思わず目を細める。


そこには、腕組みをして立つ玲と、テーブルを蹴り飛ばしている煌と、項垂れて正座する桜の姿があった。



「どうした?」



突如現れた俺に、3人は驚いたような表情を見せ、そして各々顔を背けた。


「煌、何を怒鳴ってる?」



……居ない。



床に散乱する――

箱から零れたケーキの残骸。



「桜、何俯いて座り込む?」




芹霞が――居ない。



「玲……

芹霞はどうした?」



部屋で寝ているのだと。



もしくは――

家に帰ったのだと。




そんな答えを切望した俺は、



「…… 櫂、僕は――…


芹霞を守りきれなかった」



深い悲しみ故に、翳ったその端麗な顔は、まるで能面のようで。


ぞくり、としたんだ。



玲はこちらに歩み、1枚の紙を手渡す。



ルーズリーフに、何か文字が書いてある。

受け取る手が、微かに震えた。
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