ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「どういう……ことだ?」
声が震えるのが判る。
「……携帯、芹霞の携帯を鳴らして」
早く帰って来いと――
馬鹿も休み休み言えと――
それを見越した玲の白い手が延べられる。
メタルピンクの――芹霞の携帯。
「僕が目覚めた時、
手紙と携帯残して…芹霞は居なかった」
連絡手段が――ない、と?
「櫂」
玲が無表情のままで言った。
「お前達が紫堂に行っている間……僕と芹霞は、弥生ちゃんの家で、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)に襲われたんだ。
だけど僕が心臓発作を起こし、結界も弱まって……」
そして玲は、苦しそうに天井を仰ぎ見た。
「判っている、言い訳だ。
……僕達を助けたのは道化師だ」
「!!?」
「そして芹霞は、僕と弥生ちゃんを助けるために、道化師の条件を呑んだんだ」
俺は思わず目を瞠った。