ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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「……へっぶしょん」


ずび~。


「ぶへっくしょん」


すびずび~。



「随分と男前なくしゃみだな、おい。ぎゃははははは」


笑い転げている金髪男。


「誰のせいだと思ってるの!!!? ありえないでしょう、この部屋の汚さはッッ!!!最後に掃除したのは一体いつッ!!?」


すると金髪男は、腕を組んで考え込み、


「さあ?」


暫しの時間をかけて出た答え。


ドサリと放り投げられて目を覚ませば、そこはゴミに塗れた一室。


どこもかしこも…ゴミ、ゴミ、ゴミ…。


床というものの代わりに、カップラーメンの残骸やら雑誌やら、タオルやらが何層にも積み重なっており、それを土足で金髪男は踏み潰していた。


10畳ほどの空間。

唯一ある家具らしき物体はパイプベッド。


多分、手で払いのけるかしたのだろう、足元には不自然な形で積み上げられたガラクタの山。


ベッドに急遽作られたと思われる歪な無空間に、あたしは無理やり座らせられていた。


あたしの膝には鼻をかんだティッシュの残骸。

ゴミだけは増え続ける宿命らしい。

増え続けるのに、収納先がない。


「そんなもの、放っておきゃ消えるじゃねえか」

「消えるではなく、埋もれただけでしょ」


奇異なるは、ゴミ特有の悪臭がないこと。


道化師の身体からも一切しない。


体臭すら全くない。


本当に不思議だ。

吃驚仰天だ。



「あんた何処で寝てるのよ?」

「寝ねえし」

「寝ないッ!!?」


あたしは吃驚して声を裏返させた。

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