ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「ところでお前。

処女ではない芹霞は嫌いか」


突然…なんちゅう話題に切り換えるんだよ!!


「だから、そのしょ…しょ…」


「しょ~じょ」


「判ってるってば!!! 少しは姉として、女として!!! 平然と言わずに、少しは恥じらってくれ!!!」



どうして緋狭姉は…

こんな直球なんだよ!!!


どうして俺の方が狼狽するんだよ!!!



「ん……ま、気が向いたら、恥じらってやる。

で、どうだ?

処女ではない芹霞は…」


絶対…恥じらわねえ、緋狭姉は。



「嫌いになるかよ!!!」



必要以上に過剰反応して、俺は思わず立ち上がってしまった。



「……余程命を捨てたいらしいな」



すっと…剣呑に細められる緋狭姉の目。


殺気すらうっすらと感じて、危険を感じた俺は、慌てて座り直した。


しかも正座だ。


「お前がそんなに処女好きだとは知らんかったな」


緋狭姉が妖艶に笑う。



「俺が好きなのは処女じゃねえ、


――…芹霞だッッ!!!」



思わず叫んでしまって…


「!!!!!」


はっとする。


してやったりという、実に満足げな女王の顔。

それを聞きたかったと言わんばかりの表情。



ああ、俺はまたはめられた。


あの言葉は…狼狽する俺から"これ"を引き出すための、前置きにしか過ぎなかったんだ。


気づいた時には遅すぎて。

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