ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


「なあ、緋狭姉はいつから気づいていたんだ?」


「何をだ」


「その……俺が……その、芹霞を……」



語尾はもう『もにょもにょ』だ。

しかも、両手の人差し指を突き合って縮こまる俺。



「気色悪い」



容赦ない。

どうして目を瞑っていても判るのだろう。



「一目惚れ、だろう?」



緋狭姉は片目だけをあけた。



「!!!」



図星に、心臓が早鐘を打つ。



「8年前。私がお前をタコ殴りにして、お前の全身の骨を粉砕させ、病院送りにした後、その2人部屋の病室にて。

お前の隣で入院していた芹霞の呼び声に反応せず、怒った芹霞に、唯一無事だった頭をぶん殴られただろう?」


――あんた、何で笑わないのよ!!?



「その時からだろう?」



「み、見てたのかよ!?」



「図星か」



緋狭姉は豪快に笑った。


俺はもう項垂れるしかねえ。


どうして緋狭姉にはバレまくりなんだろう。


昔からそうだ。

気づいたらもう…既に知っている。



「お前が惚れるのは当然だ。

私の妹だからな」



凄えよ、その自信。


俺は緋狭姉の手の中だ、いつでも。

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