ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「お前――…

"来る者拒まず"なんだろう?」



ああ、またもや直球。

緋狭姉には絶対隠し事は出来やしねえ。


そして俺も俺。


いつも愚鈍なくせに…緋狭姉の突然の言葉が、何を示しているのか判ってしまうのが、無性に悲しいや。



「軽蔑、するか?」



俺は唇を噛んで、思わず顔を背けた。



「お前が主義変えしたらな」


「主義変え?」



俺は緋狭姉を再び真正面で見てしまう。




「お前…唇は重ねぬのだろう?」




「あ?」




顔が熱い。何だこの汗。




「お前の唇を巡って……

香水女が競い合っているらしいがな」



「はあ!?」



何だ、それは。


というか、何でそんなことまで知っているんだ?



「"完全ヤリ捨て"」



どきっ。



「仮初(かりそめ)といえど、ひとときでも情を交わす相手に、肌も見せず添い寝もせぬらしいな。本能任せだけの、発情行為か」


だくだくと変な汗が滲み出ては、頬に伝い落ちる。


覗いていたとか?

ありえねえ。


だけど緋狭姉に限っては、ありえそうで怖い。

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