ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「喜ぶな、こっちは気分悪い。
……別に俺は、今からでもいいんだぜ?」
妖しげに光る瞳が近づいてくる。
あたしはぶるると身震いをした後、ベッドの上で土下座した。
「ごめんなさい、あんたとなんか真っ平ごめんです。あたしは食べてもおいしくないから、どうかおいしそうな他の方を召し上がってくださいませ」
必死になって。
「じゃあよ、誰だったらいいんだ?」
「え?」
「俺に組み敷かれていた時、芹霞ちゃんは誰を思い出したんだ?」
不機嫌そうに、金色の瞳は細められる。
「お前、余裕ある態度に腹が立つって言ってたろ。あれ、誰を思い浮かべていた?」
ん……?
確か、あのとき怒っていたのは、
「……櫂?」
「へえ」
瞳がますます細められていく。
まるで…殺気を飛ばされているかのような、妙な緊張感が漂う。
「そんな仲だったのか、既に」
途端にあたしは慌てて両手を振った。
「違う違う、あたし達は清く正しい永遠のお付き合いだから!!!!」
ちゅうはしたけど。
「あたし達は絶対そんな仲にはならないからッ!!! そんな終わりが見える関係なんて、絶対ありえないからッ!!!」
すると男は――
ぎゃははははと笑い出した。