ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


気の緩みからか煌は饒舌となった。


そして。


「――…でさ、あの"道化師"野郎が芹霞を気にいっちまって、余計なことぺらぺらと」



「……"気に入った"…?」



前触れなく、

突如抑揚なく低められた声音に…



「「!!!?」」



室温が急降下する。


小さい声であたしは煌に叱咤する。


「何故に櫂の機嫌損ねる、煌!!」

「え? 俺!!? 俺のせい!!?」

「でしょうが!! 今の台詞に、あたしにどんな汚点があるというの!!」

「えええ!!? じゃあ今の台詞に、俺に汚点があるのか!!?」

「当然でしょう!!!」

「ええええ!!?」


小声であたし達はひそひそ。


何だ…この、本能的危機感…。


櫂からの…突き刺すような鋭い視線を感じる。

詰るような攻撃的な視線を感じる。


煌へ…だよね?


そう思って、ちらりと視線を向けると、漆黒の瞳と目が合った。


……煌を見ているんだよね?


少し横に動いて見た。

漆黒の瞳も同じく動く。



「………」

「………」


「なあ芹霞。やっぱ櫂は俺じゃなく、お前…「何であたしよ!!?」


そう叫ぶと、更に櫂の目は苛立たしげに細められて。


あたしだ。

何故かあたしに怒ってる!!?


何で!!?

え、何で!!?

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