ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「食材の買い出しという任務を授けよう。

……あ、勿論自腹だからね」


言ってから考えるのもアレだけど、どうして陽斗はお金を持っているのだろう。


誰かから脅し取ったとか?


だけどそんな俗的な犯罪はしない気がする。


………。

………。


……ま、どうでもいいや。

金はあるなら、最低限度に使いましょう。


「とりあえず、ハンバーグでも作ろうかね。子供が好き食べ物、嫌うことないでしょうし」


「お前な、いい加減に「書くものある?」


「あ、ああ…カレンダーの横に確か…」


陽斗は…律儀だと思う。


きちんと会話はツッコんでくれるし、頼み通りにボールペンをくれる。


あたしはカレンダーを1枚破り、その裏側に必要と思われる材料を書き出した。


「はい。ちゃんと全部揃えてね。スーパーがいいわよ」


折角忠言したというのに、


「俺はお前のアシじゃねえ~ッッッ!!!」


地団駄を踏むだけ踏んだ陽斗は、動じないあたしを罵倒していたが、


「早く行けッッッ!!!」


痺れを切らして一喝したあたしに驚き、反射的に出て行った。


そして30分後。

陽斗は両手一杯の買い物袋を抱えて帰ってくる。


「…………」


詰るような金の瞳が向けられたが、あたしはそれに気づかないふりをして、買い出し中に清掃が終わった調理台に材料を並べた。

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