ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

 

「……なあ芹霞」



やがて掠れ気味の声が、あたしの頭上から届いた。


酷く切なげに漏れ聞こえるその声音は、

熱い吐息と共にあたしの髪を揺らす。



「ん?」


「……こんな時にって思うけどよ」


躊躇いがちな声音は、酷く慎重さに震えていて。


「?」


「俺の事情で悪いんだけどよー」


「??」


「こんな俺でもよー、それなりに理性はあるつもりだけどよ」


「???」


「……俺も男だし」


「????」


「お前の息、直接鎖骨にあたればさー」


一体、何をぶつぶつ言っているのだろう。


そして困ったような顔をして、あたしの身体を離す。





「もっと……って

我慢できなくなる」





真っ直ぐにあたしを見つめる

熱く潤んだ褐色の瞳。




「熱っぽいよ、大丈夫?」



心配になってくる。

煌の言葉の意味より、あたしは目の前の煌の様子が心配で。


すると煌は、更に辛そうな顔をして苦笑した。


 
「大丈夫……だといいけどよ、俺、緋狭姉に身体に纏ってたモン取られたから、久々の素肌でさ……」


そして苦々しい顔つきで、煌は少し唸りながら、わしゃわしゃと橙色の髪を掻いた。





「直にお前の熱感じるの、


正直――やばい」



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