ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



何の躊躇もなく。

何の罪悪感もなく。


それを悪というのなら、

この青色は純粋悪の色。


太刀打ちできない圧倒的な青。


金色の輝きを欲するのなら、

あたしは唇を噛みしめるしか出来なかった。


再生する肉体――。


だからといって傷つけてもいい理由にはならないのに。


それでも生きてさえいてくれれば――。


 
ドアが閉まる無情な音。


あたしはへなへなと座り込んでしまう。



「おい、大丈夫か」


「煌……」



あたしは思わず煌の首筋に手を回し、抱きついて涙を流した。



「あたしは……

陽斗を見殺しにしたいわけじゃないのに」


「大丈夫だ。大丈夫だから」



後頭部に回された大きな手が、

ぎこちなくあたしの髪をまさぐる。



「ちゃんと、皆で帰ろうな?」


「……うん」


自分から抱きついたのは何年ぶりだろう。


久方の煌の肌の温度は、温いというより熱さを含んでいた。

その熱さが今、溜まらなく心地よい。


「……煌」


「ん?」


優しい声が返ってくる。


「色々ごめんね」


「あ?」


「我侭ばかりでごめんね」


「………」


「櫂から引き離してごめんね」


「……いいんだって」



あたしに回された手が強くなる。

それは再生されたあたし達の絆のように、強く。

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