ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「おま…何でそんなに凶暴なんだよ!!」
褐色の瞳は涙で潤みながら、それでも焦れたような光を宿して。
「あのさー」
「ん?」
「察しろよ?」
「何を?」
再度大きな溜息が響いた。
「生殺しだから」
「は?」
「見えてるし」
煌が指さした処は首筋で。
「そうやって煽るし」
「?」
「……鬼ですね、芹霞サン」
途方もなく大きな溜息。
本当に一体何だと、首を傾げて褐色の瞳を見遣れば、
「だから~~ッ!!」
煌は真っ赤な顔で黙り込んでしまった。
それを見たあたしは、煌があたしとのぎゅうで照れているのだと思って…
「煌」
「………」
「可愛いね」
「………」
「初々しいね」
「………」
「外国行けないね」
「………」
「今まで、助けて貰いがてら、結構かなりの頻度で、感動のぎゅうしてたりしてるんだけどね」
「………」
「今更、なんだけどね」
「………」
「ぎゅうは嫌だった?」
「………」
「あたし、ぎゅう好きだよ?」
途端固まる煌の身体。
「そうか、煌は嫌だったか」
スキンシップは大切なのに。
だから煌から身体を離そうとしたら、
――ぎゅ。
両手で強く抱きしめられた。
より密着する互いの身体。
「嫌じゃねえ、けどよ。嫌どころか俺は……あークソッ!!もう、仕方ねえッ!!」
そう言って、あたしに顔を合わせないように、あたしの頭に顎を乗せて、あたしの背中に回した手に、更に力を込めた。
ヤケクソ気味のぎゅう。
何だか失礼なワンコだ。
親愛なる幼馴染に、もっと愛情注いだっていいじゃないか。