ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「そんな人間にのぼせる愚かな女達。自業自得で、恐怖を味わって死んだ方がいいと思わない?
そう、攻略キャラは選別されているんだよ」
「櫂はそんな男じゃないッ!!!」
「君が知らないだけさ。紫堂という家の者がどんなことをしでかしてかなんて、ボクは陽タンや会長から耳にタコ出来る程聞いてるよ?」
「それは紫堂であって、櫂じゃないッ!!」
「同じことだよ。その血が流れるというだけで、存在自体がERRORさ」
嘲るように笑う由香ちゃん。
「他の4人なんて更にクズさ。知ってた? 架空団体"アリス委員会"。
攻略キャラの頭文字を取ったんだ。
"阿賀光彦"、"路方(ろかた)陸人"、"伊澤琢磨"、"紫堂櫂"…はSで、"結城隼人"…は、元々の江山姓で頭文字を結べば…
何と不思議、ALICE…もといALISEとなるんだよな。まるで主役級。偶然とはいえ、運命だと思わないかい?」
由香ちゃんの目に宿るのは――
「ERRORが蔓延(はびこ)るこの世界は…腐り過ぎてる」
憎悪。
「ねえ、神崎。君はこの世界が好きかい?」
唐突に尋ねられた。
「ええ、好きよ」
すると由香ちゃんは笑い出した。
「こんな虚構世界が?」
唾棄するような口調。
「無駄と退屈ばかりで、確かなことなど何もない、虚飾に満ちたこんな世界が?
ボクは――嫌いだ」
そして真っ直ぐにあたしを見た。
「ボクは帰りたいんだ、本当の……真実の世界に。明快な解答が出る、0と1の世界に」
「………」
「ボクは棲む世界を間違えたんだ」
「………」
「ボクにとって、ゲームは故郷さ。そしてこの『B・R』は故郷に帰るための、片道切符なんだ。
全てが壊れれば、ボクは還れる」
由香ちゃんは、
焦がれるような遠い目をした。