ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
哀しい――と思った。
噂では由香ちゃんは、皆から理解されにくい人種だった。
コスプレを愛し、
ゲームを愛し、
現実を見ない。
桐夏で彼女を嘲り馬鹿にした野次が飛び交っていたのを知っている。
虐めにあっているらしいという噂も耳にしたことがある。
知っていたのに…
何度か廊下で顔を合わせたことがあったのに…
あたしは積極的に彼女と交流を持とうともしなかった。
完全に他人事だった。
由香ちゃんがあたしを知っていたというのなら。
それは一方的なもので、あたしは…由香ちゃんのことなど何も知らない。
今、此処でこうして…親しく話せるような、そんな仲ではないんだ。
弥生だってそうだろう。
ゲームの攻略の時だけ、由香ちゃんを利用しようとした。
そんな弥生にゲームを送りつけた由香ちゃんの心情など、深く考えようとせず。
そう。
由香ちゃんを奇異なる目で放置したのは、
あたし達…此の世界の住民だ。
そして此の世界の住民は、
蔑んだ彼女の世界に溺れ
気づく間もなく殺し合っていく。
ああ、なんて。
――醜きこの世界。