ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「由香ちゃん、やっぱり間違っているよ」
あたしは言う。
「いくら殺したって、いくら壊したって、虚構のものは虚構にしか過ぎない。
此の世界が虚構だというのなら、壊したという事実もまた、虚構。
何処までも虚構で終わる世界が、滅ぶことはないわ。
だから――還れない」
「……うるさい」
由香ちゃんの目から涙が零れた。
「うるさい、うるさいッッ!!
この偽善者ッッッ!!!」
偽善者。
ずきん、と心が痛んだ。
「お前なんかいつも人に囲まれて、好きなことを言って好きなことをやって。
助けを求めれば必ず誰かが助けに現れて。泣けば誰かが慰めてくれて。
そんなお前に、ボクなんて理解出来ない」
「じゃあ理解させてよッッ!!」
あたしは怒鳴った。
「由香ちゃんの世界、
あたしにも教えてよッッ!!」
由香ちゃんは動きを止めた。
「少なくとも。此処に来たとき、由香ちゃんは嬉しそうにあたしに話してくれた。
あたし達、そんなに関わり合いなかったのに。
そういう風にこれからやって行こうよ」
どうすれば伝えられる?
どうすれば判って貰える?
「人を殺しちゃ駄目だよッッッ!!!」
あたしは堪えきれず大泣きをしてしまった。
「由香ちゃんは、虚構なんかじゃないの。
あたしと同じ――
人間なんだよッッッ!!」
ピーピー。
突然電子音が部屋に響いた。