ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「俺は緋影ではないけどよ、
あいつは――陽斗は…
オリジナルなんだと、俺の」
「陽斗が?え?どういうこと?」
「俺にも色々あんの」
前方からざわめき。
煌は苦笑しながら、あたしの手を掴んで走り出した。
「いつから?」
「最初から」
「皆知ってるの?」
「……ああ」
何と。
「あたしにだけ、隠してたんだ」
まるで面白くない。
「……言い難くてさ。人間じゃない身体してるなんて」
大きく翳りの出来た精悍な顔。
「人間じゃないなんて大げさな。まあ…あんたはワンコだからね。スーパーワンコだったわけだ」
「俺はワンコじゃねえって!!! 何勝手にワンコ度をパワーアップさせるよ!!? 俺の一大決心をギャグにさせるなよ!!?」
ワンワン、ギャンギャン。
「別に煌は煌なんでしょ?」
煌がどんなワンコだろうと。
煌が煌であれば問題ない。
「緋狭姉の荒修行してるくせ、傷の治りがやけに早いとは思ってたけど…なんだ。そんな身体してるんだったら、もっと全力で喧嘩すればよかった。早く言いなさいよ、何か損した気分。…ちっ」
思わず舌打ちしてしまった。
「お前さー」
「何?」
「やっぱ緋狭姉の妹だよな」
「は?」
「お前ら、最高」
その笑みは満面で。
だからあたしは気づかなかったんだ。
その笑みの向こう側に、
まだ何か隠されていることを。