ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


「ただ、全ての紫堂の者が再生出来るわけじゃない。緋影の遺伝子は、紫堂の……異能力を構成する遺伝子には劣性になるみたいでね。

現に僕も櫂もその細胞は引き継いでいない。いたなら僕だって心臓病なんてなってないだろうし。ただ櫂は、人より回復力は早いみたいだけどね。

紫堂は"再生出来る同族"を売り、元老院の機嫌を取っていた。それが8年前だ。緋影の身体の謎を解けば、元老院は『不老不死』になれる。元老院は、紫堂を使って緋影の研究……実験を始めたんだ」


「もしかして…陽斗と居たあの施設は」


――妹は…雑司ヶ谷から、御階堂分家に連れ去られた。


「そう。雑司が谷の墓地の下に眠る施設は、紫堂のものだったんだよ。そこで道化師を始めとした緋影の研究が行われていた」


「どんな……研究だったの?

陽斗が憎悪するくらいの研究とは」


僕は言った。

紫堂が担った、罪の記録を。


「身体が…どこまで苦痛に耐えられるか。どこまで再生できるか。

例えば切り刻み、例えば熱で溶かし、例えば電気を流し、例えば猛毒を……」


「もういい」


芹霞は、翳った顔を俯かせた。


そう、聞くことすら耐え難い、それが裏の紫堂の歴史。

人を人とみなさず、道具として実験続けた…非人道的集団。



「櫂が変えるから」



ゆっくりと…芹霞の顔が上げられる。



「櫂は過去の罪を背負い、

元老院に頼らない紫堂を作ろうとしている」



芹霞は唇を噛みしめて、小さく頷いた。


そして、ふと思いついたように聞いてくる。




「煌もそうだったの……?」




芹霞は…何処まで知ったのだろうか。



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