ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
崩れ落ちるようなその様に、
倒れてしまったのかと一瞬驚いたけれど、
「ああ――
自業自得かよ……」
掠れた声でそうぼやくと、溜息をつきながら、責めるような目であたしを見る。
何とも苦悶に満ちた、悩ましい顔つきで。
「お前を虐めたツケが回った。
少し待て。鎮めるから」
鎮めるって…何?
何が暴れているんだろう?
ハテナマークだらけのあたしに背を向けた櫂は、荒れた呼吸を繰り返しながら、上を向いたり下を向いたり、もぞもぞと忙しく頭を動かしている。
一体、何だと言うんだろう?
なにやら大変そうだけれど…。
やがて櫂はこちらを向いた。
「いいよな、お前は気楽で」
そう苦笑して、あたしにデコピンする櫂は。
未だ瞳の奥に熱は籠もっているけれど、それでも先刻みたいに外に出さず、意志の力で押さえ込んでいて。
だからか、少し哀しそうに見えた。
櫂はあたしのお腹にある手を離すと、自分の上体を完全に起こし、上方からあたしを見下ろした。
喉元の手は置かれたまま。
そして――
「やはりまだ…
…声は出せないか?」
そう言ったんだ。