ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


 
崩れ落ちるようなその様に、

倒れてしまったのかと一瞬驚いたけれど、



「ああ――


自業自得かよ……」




掠れた声でそうぼやくと、溜息をつきながら、責めるような目であたしを見る。


何とも苦悶に満ちた、悩ましい顔つきで。



「お前を虐めたツケが回った。


少し待て。鎮めるから」



鎮めるって…何?

何が暴れているんだろう?


ハテナマークだらけのあたしに背を向けた櫂は、荒れた呼吸を繰り返しながら、上を向いたり下を向いたり、もぞもぞと忙しく頭を動かしている。


一体、何だと言うんだろう?

なにやら大変そうだけれど…。



やがて櫂はこちらを向いた。


「いいよな、お前は気楽で」


そう苦笑して、あたしにデコピンする櫂は。


未だ瞳の奥に熱は籠もっているけれど、それでも先刻みたいに外に出さず、意志の力で押さえ込んでいて。


だからか、少し哀しそうに見えた。


櫂はあたしのお腹にある手を離すと、自分の上体を完全に起こし、上方からあたしを見下ろした。


喉元の手は置かれたまま。




そして――



「やはりまだ…


…声は出せないか?」




そう言ったんだ。



< 465 / 974 >

この作品をシェア

pagetop