ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
気づいていたなら――
さっさと言えッ!!
「俺の力、お前の喉に届いてないか?」
櫂の言葉の意味は判らなかったけれど、それでも櫂なりに何かしてくれようとしていたらしい。
「届いてないな、その様子なら」
そして櫂は怖い顔をして髪を掻き上げた。
「何だって、玲の結界の中でそんなに瘴気にあてられるんだよ」
ショウキ?
はて…何処かで聞いたような言葉だ。
「邪眼じゃないな。もっと違う……強いものだ。残滓だけでも強い」
ジャガン?
「何があった? 車の中で。
……といっても言えないか」
車の中?
あたしは記憶を呼び覚ます。
車とはベンツのことだろう。
あたしは玲くんと居て……
玲くんが赤い瞳と闘って……
それで――
『ごきげんよう』
声の蘇生と同時に、
突然恐怖が押し寄せた。