ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「「………」」
2人の深い溜息だけが、静かな部屋に響き渡る。
突き刺さるように向われる視線は、やはり芹霞さんの居る部屋で。
「「………」」
ああ、部屋の空気が重すぎる。
私は鬱々と漂う空気を変えようと、とりあえず…部屋の電気をつけた。
すると目に鮮やかな橙色の男に睨まれ、あろうことか諭(さと)された。
「桜、落ち着け?」
「………」
殴り殺してやろうかと、思わず拳を握った時、
「失恋には酒がつきものだ」
襦袢姿で艶然と笑う緋狭様が、
テーブルに日本酒の一升瓶を置いた。