ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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街はいつも以上に賑わっている。


道路の両脇に見える建物は、御子神祭を告げる派手な垂れ幕に彩られている。

活気づいた露店には、浴衣姿の女性達が群れている。


露店と言っても、神社や下町の祭に出店している昔ながらの屋台だけではなく、洗練された都心限定の…高級店が出す特別"露店"には、さながらバーゲンセールのような騒々しさがある。


そうした活気の中心は、やはり紫堂系列の店で。

誇大とも思われた宣伝は、今の処は無駄にはなっていないらしい。


今の処、東京は――

紫堂の色に染まっている。


それがいつまで続くのか、不安愁訴ではあるのだけれど。



車は、目的地たる代々木の、ある敷地に入っていく。


鬱蒼と生い茂る木々。

広大な敷地と、行き交う夥しい数の人々。


東京における名の知れた行楽地。

隣接する古い社。



――明治神宮。



東京の繁栄を願い、巫女が舞い踊る豊穣祭の舞台。


御子神祭において、剣舞が披露される舞台。


そして本宮の地下に、元老院は集っている。


紫堂を手招きしている――。




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