ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
車を止めて境内に足を踏み入れると、待ち兼ねていたように立っていた神主が一礼をして、私達を先導する。
案内された場所は、剣舞が披露される神楽殿を見下ろすように作られた、真新しい校倉(あぜくら)造りの……背の高い大きな木造建築物。
渡り廊下から静寂な風景を眺めながら行き着いたのは、古ぼけてはいるけれど、重厚な観音扉。
それを両手で押し広げて、
神主が促した先には――
円卓を囲んで椅子に座る11人の男女が居た。
部屋は意外にも薄暗い洋間で。
誰もが狐面のような薄気味悪い、仮面の笑みを湛え…私達を見た。
何を謀っているのか判らない、油断ならぬ者達。
揃いの闇色の着物。
各々が背中に背負うは、11種の紋章。
それは現代、約2000種ある"家紋"の源流。
しめやかで、厳かな――
闇に浮かぶ権威の紋章…。
そしてその闇色は、私達も服にも染まっている。
和風とも洋風とも言い切れぬ不思議な衣装。
肩まで拡がる開衿の内側の詰め襟が動きにくい。
完全に闇の支配下にある証の、正装たる衣装。
そう、目の前にいるのは――
元老院――。
東京を牛耳る人物達。