ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「芹霞の声を返しやがれッッ!!」
行き着く前に立ち塞ぐのは、色つきの服。
黒皇と、白皇と、緑皇。
紅皇や氷皇程の強さはないはずだが、それでも元老院直下の五皇。
弾かれた煌は、後ろに飛んで姿勢を直した。
煌の我慢も限界らしい。
煌にしては、珍しく耐えた方だ。
「……櫂は手出しするなよ」
僕は櫂に声をかけた。
「暴走するのは僕の役目だ。
お前は万が一の時の為に…
一切手出しをするな」
そう。
狂うのは僕だけでいい。
櫂ならば、後処理はきっと旨くやってくれる。
僕が居なくても大丈夫。
だから僕は――
櫂に全てを託そう。
「……おい、玲」
僕は月長石をポケットから取り出し、ぎゅっと握り締めた。
「お前、何を考えている」
少し怒った口調の櫂に、僕はいつも通りに笑った。
敬愛なる従弟に向けて。
「ごめんね、櫂」