ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



 
バリバリバリ。



僕の手から放たれた青い光は、



「させねえよ」



煌の……顕現された偃月刀が弾いた。


それを屈辱だと思うより早く、褐色色の瞳が僕に絡みつく。



「先に手ぇ出したのは、俺なんだぜ? 最後までやらせろよ」


煌は、苛立たしげに橙色の頭をがしがしと掻いた。



「腹立ってるのはお前だけじゃねえんだよ。お前だけが一人背負うんじゃねえよ。お前は櫂には必要な存在だ。こういうのは……」


「自惚れすぎますわ、馬鹿蜜柑」


桜が裂岩糸を手に絡ませていた。


「馬鹿蜜柑相手では何処までいけるか判りませんことよ。ここは私が。玲様はやるべきことがあるはずですわ」


「え?」



「玲。東京の全映像を潰せ。

出来ないとは言わせない」



櫂が不敵に笑った。



「何よりも先に、それが必要だ。

あんな放映を誰の目にも曝させるな」



「でも……」



「お前の舞台は、此処ではない」



真っ直ぐに、射るように僕の心に突き刺さってくる…漆黒に彩られた眼差し。



「……まもなく来る。

だから――案ずるな」



何が……?


確信じみた櫂の言葉は、肝心な処をぼかされて。


もしそれが僕の不安と一致するものならば。



早く。

一刻も早く。



この場から――


渋谷に近いこの代々木から、脱出しないといけない。



"その契機"が芹霞となるならば、

芹霞を道具には、決してさせてはいけない。

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