ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「亜利栖チャンを差し出して、手に入れられる"紫堂より大きな力"は、藤姫としての意識戻るまで。短期決戦を強いられていたのにね。
藤姫が動けるようになった上、紫堂にぼろぼろにされた今となっては、御階堂当主としても君はもう不要だ。今頃藤姫が元老院に返り咲いているだろう」
悔しさ。
怒り。
絶望。
御階堂には、複雑な負の感情が渦巻いているようだ。
「君が手に入れられたものってさ、結局何だったわけ?」
そのひと言で、御階堂の表情は虚ろになる。
演技じゃない。
「芹霞チャン、みっちゃんに手に入れられたの?」
あたしは毅然と言った。
「いいえ」
拒絶。
あたしはどこまでも拒絶する。
「やり方を間違えたね。
あたしは御階堂のものにはならない」
場はしんと静まり返り。
それは長いようで短いようで。
あたしは御階堂に対して好意すら持ち得ない。
だけど、きっぱりここまで拒絶していいんだろうか。
そんな不安も心に過(よ)ぎるけれど。
だけど櫂の名前を出してあたしを騙したことは、あたしは絶対許せない。