ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「俺達の判断基準は、元老院の意向なんだよ。元老院がYESと言えば、是か非でも遂行する。正義がどうとか悪がどうとか、そんなレベルじゃない。

全ては…元老院の御方々のために。

元老院が血を求めれば、血を与える。命を差し出せといえば命を差し出す。それが俺達五皇の役目。"私情"なんて全くない。元老院の情が俺達の情。

……まあ、それに嫌気をさして離脱した奴もいたけどね」


くつくつ、含んだように蒼生は笑う。


「……紅皇っていう人のこと?」


「あははは。やっぱりまだ判っていないんだ」


「……何のこと?」


「ん? まあいいや。そ。君と同じ目をしている紅皇様さ」


冷たい藍色の瞳に、温かな何かが流れた気がする。


この男には似つかわしくない、その光は。


――愛おしみ。


蒼生はあたしの中の、何かを見ている。



もしかすると――


蒼生は"紅皇"って人を……?



「そんなに元老院に頭が上がらないなら、どうしてあの御階堂を突き放したのよ?」



「……"先輩"じゃなくなっちゃったんだ?」

「どうでもいいでしょ、そんなこと」


「確かにどうでもいいね。だって元々俺はみっちゃんの指示で動いていたわけじゃないし、みっちゃんが元老院になったのは、藤姫の空席を埋める"仮"だったし。元々期間限定だったものね、みっちゃん?」



気づけば――

御階堂はあたしを見ていた。


じっとあたしを見つめている。


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