ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


声も低くて怖いけど、

何よりも射殺されそうな冷たいその瞳。


あたしはひいっと飛び上がり、

思わず隣の蒼生に飛びついてしまった。


すると、


「……芹霞はこっちだ!!」


大きな舌打ちの後、玲くんの腕が伸びてきて、あたしは荒々しく身体を引き寄せられ、その膝に後ろ向きで座らせられた。


あたしを閉じ込めるような玲くんの両手が、あたしの目の前のキーボードを規則正しく打ち込んでいく。


猛烈な勢いで。


玲くんの息遣いで、あたしの髪が揺れ、そのくすぐったさに少し身をよじる。


「動かないで!!」

「すみませんっっ!!!」



玲くんの厳しい声に、

あたしは硬直する。


 
何であたし――

玲くんとこんな体勢でいるんだろう。



「あははははは」


蒼生の声。


「君は随分と狭量だね、レイクン。じゃあ2人にしてあげるよ。言っておくけど、逃げようなんて思わないことだ。俺達は外で待機している。

…そうだね、今からきっかり15分後。

それまでに何とかしてね。出来ないなんて言わせないよ?」


酷薄な色を滲ませた語気は、

冗談ではないことを悟らせる。


「あはははは~」


足音は遠ざかっていく。



あたしは――

玲くんの膝の上。

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